フィンランド陶芸とマリメッコ・スピリッツ展
大阪の東洋陶磁美術館で開催されている「フィンランド陶芸」展、同時開催の「マリメッコ・スピリッツ」展に行ってきました。
いつもは重厚な印象の東洋陶磁美術館ですが、今回は雰囲気が一変。
1階ロビーの様子です。
中央に見える赤い花は、おなじみの柄<ウニッコ/ケシの花>(1964年)。
展示は、陶芸→マリメッコ→陶芸→マリメッコ‥ と、陶芸とマリメッコの作品が交互に現れる構成となっています。
最初の展示室では、フィンランド陶芸の作品が集められています。
胴と尾に顔をうずめた狐。
ミハエル・シルキンという作家による彫像 <猫>。1950年代の作品です。
同じくミハエル・シルキンによる <熊>。1960年ごろの作品。
動物を表現した作品がとくに魅力的です。
魂が入っている感じがするのですよね。
次の展示室前のスペースには、マリメッコの布が展示されています。
華やかな色彩もあり、幾何学的な文様もあり。
作品の間を縫うように歩くと、さまざまなパターンが見え隠れして、取り合わせの変化を楽しめるように展示されています。
次の展示室でも、陶芸の作品が展示されています。
こちらは ”アイリス工房” という陶芸工房による花瓶です。1900年前後の作。
ええ色やなぁ。
模様も、なんか面白いなぁ。
‥と思って見ていたのですが‥
四つの白い丸は、花が咲き終わったあとにできた種のような感じもするし‥ めしべの中の卵細胞のようにも見える。未来そのものを象徴しているようにも思えます。
これもいい色。やはりアイリス工房による、蓋つきの水差しです。1900年前後のもの。
この工房の作品はウィーン万博(1900年)などでも高く評価されましたが、量産に向いておらず、まもなく工房は閉鎖されてしまったそうです。
2階から3階への吹き抜け部分は、ふたたびマリメッコの展示スペースとなっています。
後方に見える布の色彩と柄。
手前のブランドロゴもカッコいい。さすがに一分のスキも感じさせません。
このスペースには、茶室も設営されています。
にじり口からのぞき込むと、茶室のうす暗い空間のなかに、マリメッコの布の柄がぼうっと浮かび上がります。大阪での展覧会のために設計された茶室なのだとか。
ここでお茶を一服したら、どんな心地がするのでしょうね。
マリメッコの展示はロビーや吹き抜けなどの空間で行われていて、展示室に並んでいるのはあくまでも陶芸作品です。
単に展示スペースの都合かもしれませんが、東洋陶磁を核とする美術館としてのこだわりが表れているようにも思えました。
展示は大阪市立東洋陶磁美術館にて、10月14日(月)までです。