布を織る
布を織ることに昔からなんとなく興味があり、織物の体験講座に参加してきました。
「素材から学ぶファッション~丹波布を織る」
会場は、神戸ファッション美術館です。
丹波布は、兵庫県の丹波地方を中心に織られている素朴な風合いの布。糸は手でつむぎ、化学染料は使わず草木で染められています。
糸をつむぐ → 染色する → 織る
丹波布を織る工程のうち、今回の講座では
・糸をつむぐ前の準備
・糸つむぎ
・機織り
の3つを体験させてもらいました。
●糸をつむぐ前の準備(綿から種を取り除く)
ふわふわの綿の中に、種が入っています。
糸をつむぐ前に、まず種を取ります。‥が、かなり強くむしらないと取れません。
そこで使うのが、綿くり機という道具です。
このような木製のものです。2本のローラーがあり、そのすき間に種入りの綿をかませてハンドルを回すと‥
ローラーがぐりぐりと綿を巻き込みながら回り、綿が向こう側に送られて種が分離されます。
ローラーの反対側には、種の取り除かれた綿だけが出てきます。
単純なつくりの道具ですが、うまいことできてるなぁ。と、感心。
綿はふわふわしていますが一本一本の繊維は細いので、2本のローラーのわずかなすきまを通り抜けることができるというわけです。
右の綿の中に、これだけの量の種が入っていました。
(正確に言うと、種から綿が生えているんですね。)
●糸をつむぐ
次に、糸をつむいでいきます。
が、その前に‥
繊維の向きがばらばらだとうまくつむげないため、あらかじめ繊維の向きをそろえておきます。
講座では、向きをそろえたものを準備いただいていました。お菓子の「うまい棒」のような形とサイズになっています。(向きをそろえるための専用の道具があるそうです。)
糸つむぎといえば ↓ こんなイメージですが
イメージどおりの糸車でつむいでいきます。
糸車をくるくる回しながら、綿のかたまりを後ろに引いていくと、面白いように糸状のものが引き出されていきます。
写真を少し拡大してみます。
綿を強く握ると糸がちぎれてしまうため、ふんわり優しく持つのが、糸をうまく引き出すコツです。
繊維が適当に絡まりあって、糸状に出てくるようです。うまいことできてますねぇ。
糸が一定の長さになったら、引き出すのをいったん止めて、糸に “より” をかけます。よりをかける=軽くねじることで繊維がまとまり、一本の丈夫な糸になるというわけです。
糸によりをかけるといえば‥ 「腕によりをかける」という言いまわしがあるなぁ。「あ! ここから来ていたのかー」 ‥と、一人でアホみたいに感動してしまいました。
●布を織る
いよいよ織る工程です。足踏み式の織機で、生まれて初めて織らせてもらいました。
横糸を通して、トン!と糸をおさえ、足を踏みかえ、またトン!とおさえ。
慣れてないのでモタモタしますが、体が動きを覚えたら、無心で織っていけそう。動作に一定のリズムがあって、心地よさそうです。
むかしの人は、趣味でも一日体験でもなく、生活を立てるために織っていたのですよね。手間ひまをかけて織り、出来上がったものは繕ったり継ぎはぎして、最後まで使いきっていた。現代の自分の上っ面な消費生活を根本的に反省したくなります。(でも、織るのは楽しいです)