ときどき文化

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本物そっくり道

あべのハルカス美術館で開催中の『驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ』展を見て、なんでそこまで本物そっくりにこだわるのかと思い、出品している作家さんの講演を聞きに行ってきました。
(ハルカス大学連携講座「金属に託す瞬間の美 超絶技巧への挑戦」2019年2月17日)


講師は、金属造形作家の鈴木祥太さん。
このような作品を作っておられます。

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上は椿。下は落ち葉。
一貫して、植物をモチーフとした写実的な作品を作られています。

ちなみに「なんでそこまで本物そっくりにこだわるのか」という疑問を最初に私に抱かせたのは、展覧会の広告で出ているパイナップルやバナナなどの作品。
安藤緑山による象牙彫刻です。
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 あべのハルカス美術館 公式サイトより


その観察眼と写実への情熱は、常軌を逸しているとすら思われます。

鈴木さんの作品も本物そっくりではありますが、どちらかというと詩情が漂う感じ。
直接お話を聞いて、植物の美しさへの感動からきているとわかり、納得しました。


制作への姿勢は、「いかに植物の美しさを表現するか、ということを考える。それを自分なりの形にすることはさらさら考えない。」と明快。


安藤緑山も、自然の造形に心酔していたのでしょうが、どちらかというと技術的な限界への挑戦、または「人をビックリさせる」ほうが主眼だったのではないかと感じます。

そのココロを本人に直接語っていただくことは、できませんが…。