ときどき文化

 美術、音楽、ワークショップの感想など

静かな展示室


大阪市立美術館で開催されている『フランス絵画の精華』展を観に行ってきました。

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雨のためか来場者はそれほど多くはなく、さらに(感染予防のため)会話はご遠慮くださいとあって、展示室内はとてもしずか。


チラシに掲載されているような華やかな女性像にひかれて行ったんですが、思いがけず、ラ・トゥールの絵を観ることができました。

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《煙草を吸う男》1646年? ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 東京富士美術館 所蔵


闇の中、木でおこした火に息を吹きかける人物。

この絵にふさわしい、静謐な展示空間でした。

お客さんどうしであれこれ話しあう声が聞こえてくるのは美術展の常ですが、静けさの中で観るのもいいですね。特に、このラ・トゥールのような作品の場合は。


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ラ・トゥールに興味をもったきっかけは、「美術館の舞台裏」(高橋明也 著)という本でした。

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著者は、国立西洋美術館での『ラ・トゥール』展(2005年)を企画した方。
貴重な作品を集めるためにフランス中を行脚したというエピソードについても書かれていて、著者がこれほど情熱を注いだラ・トゥールの絵とはどんなものだろうと思っていました。

ちなみに、日本にはラ・トゥール作品が2点あり、一点は著者が在籍していた国立西洋美術館が所蔵。もう一点は、今回観た《煙草を吸う男》(東京富士美術館蔵)です。
しとしと雨が降る日にも似合う展示でした。