わびの探究
先月、逸翁美術館(大阪)の展示「わびとサビとはどう違う?」を観に行ってきました。
※会期は9月6日まででした
わびとサビの違いなど意識したことがありませんでしたが、
サビの方は、時間の経過が関係しているんですね。
古びて出る味わいがサビで、
わびの方は、古いとか新しいとかは関係ないのか。
まぁ、重なる部分も多いみたいです。
帰りに、阪急電車と「すみっコぐらし」のコラボ電車に出くわしました。
『すみっコぐらし号』
手前の方に写っているキャラクターは、まったりと温泉につかっているのかと思いきや、
ナベの中の液体は天ぷら油で、中に浸かっているのは大きい方がトンカツ、小さいのがエビフライらしいです。意外にシュールですね。
下は、車内ステッカーです。
部屋のすみっこで落ち着くすみっコたち。
ひょっとしてすみっコぐらしって、わびの精神を体現しているのでは・・と思い、ためしに背景を和風のものに変えてみました。
ジブリのアニメとかに出てきそうですね。
白黒にしてみたら、どうだろう。
地味になった
やはり背景は茶室がいいかな。
人数を減らして、お茶を持たせて・・
なかなか楽しそう。
お茶やダンゴをもつキャラクターは、阪急電車の京都線に現れるもの。(2021年3月まで)
背景の茶室は、昨年(2019年)、大阪市立東洋陶磁美術館で開かれた『マリメッコ・スピリッツ』展で撮ったものです。
tokidokibunka.hatenablog.com
茶室とはいえ華やかですね。あまり、わびっぽくないですが‥ まぁいいか・・
コインの世界
ある日、家に眠っているコインを整理しました。
もとの持ち主が中東・アフリカ方面へ行くことが多かったため、その地域のものが中心です。
やはり日本では見かけない風物がいろいろ描かれていて、おもしろい。
アラジンのランプ風ですね。
どこの国かいな。
コインをひっくり返すと、
アラビア文字の下に、”UNITED ARAB EMIRATES” の文字がある。
アラブ首長国連邦か。
いや~、遠いところから・・。
・・・
これはエジプトだろう。
裏には
0のように見えるけど、10 とかかな?
と思い、アラビア文字と算用数字の対照表で調べてみると
0(ゼロ)ではなく、5 を表すようです。
5円玉か。(円ではないけど)
・・・
これは、なんの動物だろう。
イヌかタヌキのような体つきに、細長い鼻(か、口)。
アリクイみたいだなぁと思ったのですが・・
コインをひっくり返すと、
ZAMBIA、ザンビア とある。
ザンビアのお金ということで調べてみると、どうやらオモテの動物はツチブタのようです。
・ツチブタ: アフリカ中南部の草原にすみ、アリを捕食する。
やはり、あの細長い鼻か口の形は、アリを食べるのに便利なのだな‥
・・・
コインの周縁をうめつくす曲線は、単なる模様ではなく文字だと思うんですが・・
美しいです。(読めませんが。)
サウジアラビアのコインです。
コインの裏はとみると、
真ん中にある、3をひっくり返したような文字は、 さきほどの表によると4 を表しています。
‥4円玉?
(円じゃないけど)
その下の4ケタの文字
4ケタだし、コインが発行された年だろうと思い、同じ表でみてみると、
1378年となります。
が、このコインの発行年としては古すぎる。
もしかしてイスラム暦かなぁと思い、
イスラム暦(ヒジュラ暦)から西暦へ換算できるサイト ↓ で調べてみました。
換算したところ、西暦だと1959年となり、このコインが使われていた年代(1960~1970年代)に合います。
なんと計算機のカシオが、このような換算サイトをつくっているのです。
イスラム暦だけではない。イラン暦、ユダヤ暦、マヤ暦も換算できます。
カシオ、すごい!!
(誰が、どんな時にこのサイトを使うのか・・ そっちも気になる。)
★生活や実務に役立つ計算サイト<世界のこよみ> by CASIO
https://keisan.casio.jp/menu/system/000000000240
・・・
月と星、
その下に、音楽記号のように流麗な文字。
まるでタカラヅカの通貨のようです。(そのようなものは ありませんが。)
パキスタンのコインです。
・・・
手足が鳥のような、インドとか、東南アジアの国に登場する神様っぽいものが描かれています。
調べてみると、インドの神話に出てくるガルダという神様のようです。
コインをひっくり返すと、
若き国王という風情の肖像。
真面目そうな東洋人に見えます・・
タイの元国王、ラーマ9世でした。
・・・
おおーーーーっ。
漢字や~~~~ぁぁぁ!!
・・と、思わず声を上げてしまいました。
ついに来た、漢字文化圏!! ホンコン!!!
裏は、と見ると、
"QUEEN ELIZABETH THE SECOND" の文字と、エリザベス女王の肖像。
イギリスに統治されていた時代の香港。
・・・
さて、いくつかの海を渡ってきました。
現代の、日本の硬貨。
500円玉は桐、
100円は桜。
ふだん見慣れているものですが、こういう流れで見るとお国柄が出ているなぁ。と、
改めて感じます。
自然、文化、言葉、歴史に政治と・・
ちょっとした物見遊山、時間旅行をした気分です。
松屋町 練
ひさしぶりに、松屋町(大阪市)の『練(れん)』に行ってきました。
松屋町駅の出口を上がってすぐのところにある、古い蔵とお屋敷を再生してつくられた複合ショップです。
蔵が建てられたのは文化八年(1811年)。明治時代の半ばごろまで、晒蝋(さらしろう)とよばれる、ろうそくや鬢付け(びんつけ)油の原料がつくられていたそうです。
現在は、チョコレート専門店が入っています。
母屋の一階にある広間です。
以前は雑貨屋さんやカフェが入っていたと思いますが、
今はテナント入居待ちかな。庭の緑がきれい。
こちらは大正末年ごろに建てられたもので、かつては病院として使われていたこともあったそうです。
屋内から、中庭と門の方を眺めたところ。
深いひさしや軒のつくる陰が濃くて、外とゆるやかにつながっていて、
なんとも落ち着きます。
それにしても大阪の街中で、こんなに古い木造の建物がよく残っていたものだな。空襲の被害を免れたのは、奇跡的なことだったようです。
あっ
こんなところに、トリが。
おや、かき氷屋さん?(でも、よく見ると・・)
●より道
『練』にほど近い空堀商店街に、『趣佳』という名のうつわ屋さんがあります。
お店の前を通ると、つい中に入ってしまう、
買うつもりがなくても、つい一つ二つと買い求めてしまう(ことがある)
・・という、その名の通り、趣味のよいうつわを並べているお店です。
私が出かけたときは、松平彩子さんという作家さんのうつわが紹介されていました。
※8/9(日)まで
写真:お店のHPより
やさしい色合いのお皿です。
↓ 趣佳HP
ちょいと面白そう(オンライン ワークショップなど)
ちょっと面白そうなワークショップ(オンライン版)を見つけました。
(感想も追記しています)
ひとつめは、あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」の再開に向けて尽力されたアーティストをむかえたワークショップです。
アーティストワークショップ
『共に生きる不自由ー表現者と研究者の対話から』
日時 7月22日[水]19:00─21:00
開催方法 Facebookライブにて開催【視聴無料/申込不要】
ゲスト 富永京子(立命館大学社会学研究科准教授)
加藤翼(アーティスト)
村山悟郎(美術家)
さまざまな分断が存在する社会でどう共にあるべきか。
「共に生きる不自由」を熟議するワークショップ、だそうです。
ちょっと難しそうな印象も受けますが、あの「表現の不自由展」の現場を知るゲストなら、観念的でないお話を聞けるかな?
詳細ページ(視聴ページも)はこちら↓
京阪電車 なにわ橋駅|アートエリアB1|ラボカフェ|「共に生きる不自由-表現者と研究者の対話から」
●ひとこと感想(視聴後追記)
・まぁまぁ難しかった(汗)。
アーティストさんの話は、具体的な体験とのつながりがわかりやすかったのですが・・。
・展示中止後、市民との対話の場を設けたアーティストの加藤翼さんが、
「(表現の不自由展に)“公金を使うな” というのは、何らかのSOS」
と話されていたのが印象に残りました。
SOS。
自分にはそういう視点はまったくなかったので、驚きました。
顔を合わせるからこそ感じられることなのだろうな。
展示の中止というのはアーティストにとってたいへんな衝撃だったと思うんですが、
対話に向けたステートメント(声明文)がなかなかすばらしいです。
↓
『美術手帖』の関連記事
「表現の不自由展」展示中止を受け新たな動き。加藤翼、毒山凡太朗がアーティスト・ラン・スペース「サナトリウム」を開設|美術手帖
・・・
翌23日は、「生の作品を観る/体験する」という美術館の根幹を揺るがす現状についての対話です。
プロジェクトミーティング
『美術館のいま(2)~大阪東洋陶磁美術館~』
日時 7月23日[木・祝]19:30─21:00
開催方法 Facebookライブにて開催【視聴無料/申込不要】
ゲスト 出川哲朗(大阪市立東洋陶磁美術館 館長)
大阪市立東洋陶磁美術館の館長・出川哲朗さんがゲストです。
コロナ禍をきっかけに浮き彫りになった美術館の課題や新たな鑑賞体験のあり方、美術館の可能性についてお話を伺うとのこと。
今回はシリーズの2回目。1回目の「美術館のいま(1)」は残念ながら見逃しました(シリーズの存在を知りませんでした)が・・
こちらの美術館で開催中の展示は気になっておりました。・・といいますか、東洋陶磁美術館自体が気になる存在です。
曇天の下で威光を放つ国宝・天目茶碗(の垂れ幕)。
あまりにも恐れ多く、この写真を撮ったときは美術館の中に足を踏み入れることなく終わりました。
こちらの館長さんは、どんなお考えをおもちでしょうか、楽しみです。
展示中の作品についてもお話されるとのこと。
詳細ページ(視聴ページも)はこちら↓
京阪電車 なにわ橋駅|アートエリアB1|ラボカフェ|「美術館のいま(2)〜大阪市立東洋陶磁美術館〜」
●ひとこと感想(視聴後追記)
・見るからに神秘的な光を放っている天目茶碗ですが、
「可視光線を超えたところで見えるものがあるのではないか」と、
ヒトには見えない波長で撮った写真(というような意味だったと思います、多分)が図録に収録されているようです。
何かわからんけど、すごいな。いったいどんな色に見えるのか。
さらに、立体物を撮るとき、カメラのピントはどこか1点(茶碗の前面なり、内側なり)に合わせますが、図録の写真は「どの点にもピントが合う」撮り方をしているとのこと。絞りを絞っているということかいな?
ちなみに館内は写真撮影OKになっています。
「ふつうの人が撮っても商業利用できるレベルには達しない」とのことで・・ ごもっともです。
・コロナについては、休館になったり会期が変更になったりといった影響はあるけど、メリットもあるようです。
大阪では、みんな話したい(大阪では? )けど、展示室に静寂がもどってきて、すばらしい鑑賞空間になっているとか。
ニコニコ動画や3D(おうちでミュージアム)も公開されていて、複数の体験のしかたができるようになるとか。
(とはいえ、立体造形の質感は本物にしかないので、ぜひ美術館に足を運んでほしいとおっしゃっていました)
公立で、自前のコレクションが充実していないと経営や運営の面で厳しいだろうとは思いますが・・
東洋陶磁美術館に関しては、この点はクリアしているのでしょうね。
『美術館のいま』シリーズは、引き続き大阪歴史博物館(8/26)、京都市京セラ美術館(8/29)の館長さんを招いて行われ、オンラインで視聴できます。
・・・
30日は、身体表現のお話です。
ラボカフェスペシャル feat. ブリッジシアター
『大谷燠さんにご自身を聴く~身体表現とその時代〈後編〉』
日時 7月30日[木]19:00─21:00
開催方法 Facebookライブにて開催【視聴無料/申込不要】
ゲスト 大谷燠(NPO法人ダンスボックス代表)
ダンスを通して社会や地域で人々の営みと芸術をつなぐ「場づくり」に取り組んできたという大谷さん。
時代ごとの世俗・政治・文化的な背景と、国内の舞踏やダンスシーンの変遷を追うそうです。
こちらも、〈前編〉は見逃しましたが、人々の営みと芸術をつなぐ場づくり、というのはいいですね。興味あり。
「なんとなく身体表現に興味がある・好き」という私も楽しめるといいのですが~
詳細ページ(視聴ページも)はこちら↓
京阪電車 なにわ橋駅|アートエリアB1|ラボカフェ|「大谷燠さんにご自身を聴く〜身体表現とその時代〜〈後編〉」
静かな展示室
大阪市立美術館で開催されている『フランス絵画の精華』展を観に行ってきました。
雨のためか来場者はそれほど多くはなく、さらに(感染予防のため)会話はご遠慮くださいとあって、展示室内はとてもしずか。
チラシに掲載されているような華やかな女性像にひかれて行ったんですが、思いがけず、ラ・トゥールの絵を観ることができました。
《煙草を吸う男》1646年? ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 東京富士美術館 所蔵
闇の中、木でおこした火に息を吹きかける人物。
この絵にふさわしい、静謐な展示空間でした。
お客さんどうしであれこれ話しあう声が聞こえてくるのは美術展の常ですが、静けさの中で観るのもいいですね。特に、このラ・トゥールのような作品の場合は。
・・・
ラ・トゥールに興味をもったきっかけは、「美術館の舞台裏」(高橋明也 著)という本でした。
著者は、国立西洋美術館での『ラ・トゥール』展(2005年)を企画した方。
貴重な作品を集めるためにフランス中を行脚したというエピソードについても書かれていて、著者がこれほど情熱を注いだラ・トゥールの絵とはどんなものだろうと思っていました。
ちなみに、日本にはラ・トゥール作品が2点あり、一点は著者が在籍していた国立西洋美術館が所蔵。もう一点は、今回観た《煙草を吸う男》(東京富士美術館蔵)です。
しとしと雨が降る日にも似合う展示でした。
久しぶりの生演奏
週末、友人の出演するライブを聴きに行ってきました。
バイオリン、サックス、ピアノのトリオで、ピアソラやジョン・ウィリアムズ、ジャズの定番曲などなど。
本当に、体の芯まで陶酔してしまう。
(そして「下手でも自分で弾きたい」というループに入る・・)
●演奏された曲より
『ストラスブール=サン・ドニ』
動画は撮ってないので、別人の演奏ですが。
Candy Dulfer - Strasbourg - St. Denis
ピアソラの『ブエノスアイレスの冬』やジョン・ウィリアムスのメドレーもよくて、完全に骨抜きにされてしまった。
ライブが終わった後も、しばらくは夢遊病者のようになってました。
会場は、大阪・梅田のライブハウス BONILLA(茶屋町アプローズ B1F)
音楽にどっぷり浸れる空間はいいな。コロナで音楽家やこういう場所も災難を被っていますが、また行きたい。
香りで虫除け
ある夜、わたしは恐怖の体験をしました。
この時期、台所や洗面所やフロ場などに前ぶれもなく出没して、わたしたちの心の平安を破る、アレ(以下、X)です。
そこで、Xが嫌うという香りで彼らを遠ざけるグッズを作りました。
X 除け 匂い袋
〔用意するもの〕
・ハッカ油 適量
・コットンパフ 2〜3枚
・水きりネット 1枚
・ひも 適量
ハッカ油は、上の製品(健栄製薬)をドラッグストアで購入。税込み700円ほどでした。
〔つくり方)
① コットンパフにハッカ油をたらす。(とりあえず15滴ほどたらしました)
② ①を水切りネットに入れ、口をひもで縛る。
③ 完成。
かんたん。
片方のひもを近くのフックにかけ、Xに香りが届きやすいよう床すれすれのところにぶら下げました。
(香りは薄れていくので、ハッカ油はときどき追加します。)
何かのプレゼントでもらったメッシュの袋があったので、こちらも。
近くのドアノブにかけておきました。
かわいらしい外見、周囲に漂うさわやかな香り。・・フフフ、どうだ。イヤだろう。
・・と思いましたが、見た目が優しげなこともあり、効果もマイルドそうな気がします。(と同時に、市販のX対策製品のデザインの強烈さが腑に落ちました)
そこで、ハッカ油を水に混ぜたハッカスプレーもつくって床に吹き付け、念入りに拭き清めました。
X除け スプレー
〔用意するもの〕
・水 大さじ3
・ハッカ油 5滴ほど(とりあえず)
・無水エタノール 小さじ1
〔つくり方〕
スプレー容器に入れて混ぜる。
※ハッカ油はポリスチレンを溶かす性質があるそうなので、スプレー容器はポリスチレン製以外のものを使用
排水口など、Xの出入り口に吹き付けておくのも効果があるようです。
わざわざスプレーにしなくても、水にハッカ油をたらしてぞうきんがけをしてもいいと思います。
「うわっ、なんかイヤやな、この辺」 という感じで、どこかに行ってくれればよい。
〔効果の検証〕
・ハッカをまいてから一週間ほど経ちましたが、今のところ当該区域にXはあらわれていません。
ただ、ハッカをまいていない暗がりでは、・・また、声にならない叫びをあげる羽目になりました。
叫び(イメージ)
・におい袋は、ハッカ油を追加するのが少々面倒ではあります。水切りネットに入れず、容器に直接入れるほうが実用的かも。
変更後 (容器に直置き)
身もフタもない・・
でもハッカ油の蒸発具合もわかりやすいし、追加するのもラク。
白い器に入れて部屋のすみに置いておくと、盛り塩っぽいです。(厄除けみたいで、よいかも)
絶滅しろとは言わないが(別に絶滅してもいいけど)、私の生活空間に生息するべきではないX・・
スキのない対策が必要です。
●参考 ハッカ油のコラム
https://www.hakkayu.jp/column/column01/